三ツ岳 雪山登山情報
冬期の三ツ岳は、北八ヶ岳ロープウェイからほど近い位置にありながら、冬に人気の北横岳には大勢の登山者が押し寄せるのに対し、ほとんど登山者に出会うことのない雪山を独り占めできる隠れ家的なコース。そのため三ツ岳の縦走路はではトレースは期待出来ずラッセルは必至、岩場の登下降ではアイゼン・ピッケルが必要となり、雪山でのギアの使い分けが求められ、且つ複雑な地形故、ルートファインディングが要求される登り甲斐のあるルートだ。
夏山でのコースガイドは以下を参照していただき、ここでは積雪期での3つのピークを縦走するルートのポイントを紹介していく。⇒北八ヶ岳・三ツ岳コース情報(夏山編)
※写真は基本的には3月中旬のものだが、比較として12月上旬のものを添えている。
雨池峠~三ツ岳~三ツ岳分岐
雨池峠から雨池の登りは、雪が少なければツボ足、多い場合にはワカン(又はスノーシュー)で登れる。
雨池山から雨池山と三ツ岳・Ⅰ峰の鞍部までは雪の少ない時期でもラッセルのこともあり、降雪後はトレースも期待できない。
Ⅰ峰への登りは急な岩場となるが、雪の状況によりワカンのまま進むか、アイゼンに履き替えるかの判断が求められる。雪が多い時期はクサリも埋もれ、岩や木々又はピッケルを手掛かりにし、ステップを作りながら登ることになる。
大きな岩が堆積し岩を縫うように進む登山道は、雪の多い時期は岩と岩の間は雪が詰まりかえって歩きやすくなる。積雪の少ない場合は、薄く積もった雪や凍結した状態の岩の上を歩くことになるため、雪の少ない時期のほうが難易度が上がる。
Ⅰ峰からⅡ峰・Ⅲ峰まではアップダウンのある岩場が続き、ルートファインディングが要求される。岩に記されたルートを示すペンキも雪の多い時期には期待できない。
核心部となるⅢ峰からの下りのクサリ場は、クサリが使えれば慎重に下るが、凍結していて使えない可能性もある。雪の多い時期はピークを少し戻りピークに向かって左側から岩場を回避して迂回でき、クサリ場の下にでることができる。
Ⅲ峰から北横岳分岐までは、地形は比較的平坦になり、夏は大きな岩を乗り越えながら進む道だが、雪が岩の隙間を埋めるほどになるとかえって歩きやすくなる。但し、地形が平坦で特徴に欠けるため方向感覚を失い道に迷いやすい。
遠望が利かない針葉樹林帯の中をまだかまだかと進んで行くと突然北横岳分岐が現れ、これまでの静けさが嘘のような登山者で賑わう北横岳への登山道に飛び出す。
不安な気持ちが解きほぐされホッとするひと時だ。
<コースデータ>
コース:北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅~雨池峠~雨池山~三ツ岳(Ⅰ峰~Ⅱ峰~Ⅲ峰)~北横岳分岐~山頂駅
コースタイム:山頂駅~(30分)雨池峠~(120分)北横岳分岐~(40分)山頂駅
標 高:山頂駅2230m 三ツ岳(Ⅲ峰)2360m
<ガイドからのアドバイス>
・積雪期にこのルートを歩く場合は、雪のない時期に一度歩いてみて、ルートの概観をつかんでおくことが肝要。Ⅰ峰~Ⅲ峰間は地形が複雑でルートが分かり難く、1/25000地形図もあまり頼りにならない。夏山の三ツ岳コース情報
・雪の少ない時期は道に迷い難い反面、コース上の難易度が上がり、雪の多い時期はラッセルを強いられるため体力勝負となり、且つ道は分かり難くなる。
・積雪期にこのルートを歩く場合は、12月上旬の雪の少ない時期か、3月以降の雪がある程度締まった状態になる時期がおすすめ。
・ギアは12本爪アイゼン、ピッケル、ワカン又はスノーシュー必携。
・上記コースタイムは夏山のもので、雪の状態により大幅に変わることを前提に、余裕をみて行動したい。
それでもこの所要時間では物足りない方は、ロープウェイを利用せずに登れば(往復+3時間半ほど)より充実した本格的な雪山登山が楽しめる。
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