甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根
日本三大急登への道
日本百名山、南アルプスの名峰「甲斐駒ヶ岳」に登る難コース、黒戸尾根登山コース。日本三大急登のひとつに数えられる本コースは、山頂までのコースタイムで約10時間掛かるため、最低でも1泊するのが一般的。
登山道には石仏、鳥居、祠、鉾などが点在し、甲斐駒ヶ岳、開山200年以上の山岳信仰の歴史を感じさせるコース。
上級者向きの難関コースに挑戦!
登山口~七丈小屋
本コースの登山口は山梨県北杜市の名水の地、尾白川渓谷にある竹宇駒ヶ岳神社登山口。もうひとつは笹ノ平で合流する横手駒ヶ岳神社登山口の二つがあるが、尾白川渓谷の方が広い駐車場がある。
本コースを概観すると、五合目までは三大急登を感じさせない一般的な登山コースだが、その先の七丈小屋のある七合目までは梯子とクサリが連続するほぼ垂直移動で高度を稼ぐ。八合目を過ぎたあたりから本コースの核心部とえる難易度の高いクサリ場が続く。その後はザレた道を登り北沢峠からの登山コースを合わせ山頂へと至る。梯子やクサリ場が多いため高度を急激に上げることが三大急登といわれる所以だ。
コース上には石仏、祠、鳥居、鉾・剣の類がいたるところで見られ、山全体が御神体であることを実感させられるコースだ
。
五合目までのハイライトは刃渡りという見通しのいいクサリ場となるが、傾斜も緩やかで難しくない。
むしろその後の刀利天狗に上がる梯子とロープが着いた岩場の方が大変。
黒戸山を巻いた後にある五合目は、かつて2つあった山小屋跡地。この辺りは休憩に良い場所で、その後の険しい道程を控え疲れを癒したい場所だ。
五合目から七合目の間は、急峻な岩場に掛かる梯子とクサリ場が連続する場所。
一番の難所は、梯子を登った先にあるクサリ場で、岩の窪みをステップにした岩場。特に下りでクサリに頼り過ぎると振られてバランスを崩す危険性があるので慎重に通過したい。
本コースでの唯一の山小屋が、登山口から約7時間掛かる七丈小屋だ。
七丈小屋~甲斐駒ヶ岳山頂
七丈小屋からは八合目までは、急登は一端中休み気味になり、樹林も疎らになり眺めもよくなってくる。
八合目には巨大な石碑があり、ご來迎場となっており休憩にはよい場所だ。
八合目から先が黒戸尾根の核心部といっていいだろう。段差の大きなクサリ場、長く急なクサリ場を経て、富士山や鳳凰三山をバックに岩の上に突き刺さった二本剣を見ることが出来る。
滑りそうな平たい岩の急斜面を登りトラバース気味にガレ場を進んで行くと、駒ヶ岳神社の奥社の祠があり、北沢峠からの登山道を合わせれば山頂はすぐだ。
長く険しい道程を経て、辿り着いた山頂では、黒戸尾根ならではの格別な思いに浸ることが出来るだろう。
インスタ映えするスポットも多い黒戸尾根コース
九合目付近の二本剣をはじめ、八合目手前にある一本剣、隠れたスポットとしては、八合目過ぎにある岩小屋跡や駒ヶ岳神社手前にある空中に突き出た岩などインスタ映えスポットも多い。余裕があればそんな場所も探しながら歩いてみると面白い。
<コースデータ>
コース:尾白川渓谷駐車場~(160分)笹ノ平~(120分)刀利天狗~(60分)五合目(小屋跡地)~(70分)七丈小屋~(60分)八合目(五來迎場)~(90分)甲斐駒ヶ岳山頂~往路下山(約6時間)
コースタイム:全行程 登り七丈小屋まで7時間、七丈小屋~山頂まで2時間30分
下り6時間
高低差:甲斐駒ヶ岳山頂2967m、登山口770m、高低差2200m
山小屋:七丈小屋
水場:七丈小屋に有り
アドバイス:
・本コースは岩場やクサリ場に慣れ、登り7時間に耐えられる体力が必要。
・七丈小屋に1泊で登るのが一般的。
・五合目~七合目、八合目~九合目間の梯子やクサリ場は難易度が高く、特に下りでは細心の注意を!
・登山口は二つあるが笹ノ平で合流し、どちらもほぼ同じコースタイム。
登山口までのアクセス
・車で中央高速須玉ICから約40分、小淵沢IC,長坂ICから約30分
・公共交通機関では小淵沢駅からタクシーで約30分
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