八ヶ岳の真教寺尾根・赤岳から権現岳のキレット越え縦走コース
赤岳の登路の中でも県界尾根と並ぶ上級者コース・真教寺尾根と八ヶ岳縦走路の中でも最難関とされる赤岳からキレットを越えて権現岳に至るコースを紹介します。
八ヶ岳の難関コースに挑戦!
真教示尾根~赤岳
いかにも山岳信仰を思わせるネーミングの真教寺尾根。長大な尾根は赤岳を支える屋台骨としてゆったりと山麓に尾を引くが、上部は急激に立ち上がり稜線へと突き上げている。
真教寺尾根へ取付くには、清里にある美し森駐車場(又は美し森ロッジ駐車場)が出発点となる。
美し森山、羽衣池を通り、賽の河原までは緩やかな尾根を辿る。サンメドウズ清里スキー場(最近では清里テラスなどと呼ばれる)のリフトの終点を過ぎると賽の河原に出る。ここからは目の前に立ちはだかる牛首山が大きく、背後に赤岳がのぞめる。
牛首山への登りでやや急になるが、牛首山から後もしばらくなだらかな尾根が続く。コース上には稜線までの「〇/10」の表示があり目安になる。牛首山はその中間点「5/10」にあたる。
牛首山の次には扇山というピークを越える。八ヶ岳のマイナー10座を選ぶとしたら間違いなく上位に入るピークだろう。
真教寺尾根の核心部は、稜線に出る最後の1時間だ。それまでなだらかだった道が急に岩場となり急激に高度を上げて行く。緊張する長いクサリ場が連続する。
長いクサリ場を詰め上げると、縦走路のある稜線「真教寺尾根分岐」にでる。
赤岳~キレット~権現岳
赤岳へは、稜線から右方向(北側)に岩場をトラバースするように進み、文三郎尾根と合流後、山頂に導かれる。
キレットへの道は左方向(南側)の稜線を辿る。
ここからはキレットへの大下りがはじまる。
稜線を辿っていくと、右手にバリエーションルートのゴジラの背中のように岩がゴツゴツとした天狗尾根の上部の岩が見え、高度感のある梯子を下る。ここは慎重に下りたい。
さらにクサリのトラバースを経てもう一つ梯子を下る。
ルンゼ状の岩場の長い下りは、白ペンキを目印に下る。この下りはルンゼをそのまま下り過ぎないよう注意。最後は右の尾根上を辿る。
稜線上をひたすら下っていくと、やがて森林限界に達し、樹林帯へと入っていく。樹林帯をしばらく進むと道が分岐し、左に入るとキレット小屋がある。
キレット小屋が最低鞍部で、それ以降は登りに転じる。小さなピークへと登りつめると森林限界を越え、進む先の権現岳や振り返ると赤岳や阿弥陀岳の眺めがよい。ピークの少し先がツルネになり、出合小屋に下りる分岐があるが直進する。
ツルネから少し下り、権現岳の手前にある旭岳への急な岩場の登りがはじまる。
ひとしきり登ると道の傾斜は緩みガレ場をトラバース気味に進んで行くと旭岳のピークへの分岐があるのでピークを往復してみよう。
旭岳からまた少し下り、最後の権現岳に一気に登り返していく。フィナーレは長い梯子を登りきると、キレット越えが完了する。
梯子を登った先で青年小屋・ギボシ・権現小屋からの道を合わせ、その先が権現岳の山頂となる。
権現岳からは天女山登山口へと下る。
<コースデータ>
コース:
真教寺尾根 美し森駐車場~(90分)賽の河原~(90分)牛首山~(180分)稜線・真教寺尾根分岐
キレット越え 真教寺尾根分岐~(70分)キレット小屋~(90分)権現岳
コースタイム:真教寺尾根分岐まで約6時間、権現岳まで2時間40分
高低差:美し森~真教寺尾根分岐(約1400m)、キレット越え(400m)
山小屋:赤岳頂上山荘、キレット小屋、権現小屋
水場:キレット小屋(テント場の下まで下る必要がある)
アドバイス:
・今回紹介したコースは赤岳頂上山荘泊の2日コースが一般的。2日目は権現岳から天女山登山口までの下りを含めると6時間半ほど。天女山からはタクシーを呼んで美し森駐車場の起点に戻る。
・キレット小屋の営業期間は短いので営業期間要確認、権現小屋はコロナ禍以降営業していない。
・本コースは中級~上級者、健脚者向き。真教寺尾根の上部はクサリが連続する岩場のコース。キレット越えは高低差以上にアップダウンがあり体力を要する。梯子の登り降りは高度感がある。権現への梯子は、一気に登れないくらい長い。
・ツルネから出合小屋への道は一般登山道ではなく、途中不明瞭な箇所もあり安易に下らないよう注意。
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