奥秩父の低山縦走路
山梨百名山を巡る静かな山旅
黒富士火山群の太刀岡山、黒富士、曲岳を歩く
奥秩父の西端に位置する山梨百名山でもある太刀岡山、曲岳、黒富士の三山を縦走、周回するコース。何れの山も1,700mに至らない低山ではあるが、縦走ともなるとアップダウンもあり歩き甲斐のあるコースだ。低山を数多く登ることは登山体力を養うのに効果的と言われ、晩秋から冬場のトレーニングとしてもよいコースといえる。訪れる人も少なく静かな山旅が期待できるコースだ。
太刀岡山へ
コースは、太刀岡山登山口の駐車場を起点に、太刀岡山~鬼頬山~黒富士~八丁峠~曲岳~八丁峠~平見城入口~駐車場と縦走、周回する。
はじめに登る太刀岡山は、そのシンボルともいえる山頂の西側直下にある「はさみ岩」という巨岩が見所。太刀岡山も黒富士火山群のひとつ。
太刀岡山へはコースタイムで80分ほどで、急登の道を一気に上がる感じ。
太刀岡山は南峰と北峰に分かれる双耳峰で、低い方の南峰に三角点があり、山頂の道標もこちらにある。山頂は開けていないが、木立の間から富士山や南アルプスの山並みが見える。
南峰から少し登り返した北峰を経て、北の方向に向かって縦走路が延びている。
太刀岡山~鬼頬山~黒富士
太刀岡山の北峰から北方に下っていくと林道にでる。この林道が通る越道峠(こえどとうげ)を下れば平見城の集落を経て、太刀岡山の登山口駐車場へ戻ることもできる。(約70分)
縦走路は林道を横切った先に延びており、このルート一番の急登を登り鬼頬山(おにがわやま1516m)のピークを越えていく。
縦走路らしいアップダウンを繰り返し、笹原の明るい道を通り1610mの八丁峰へと登り返していく。
八丁峰から黒富士へと向かうと枡形山や曲岳方面への道が左から合流する。ここから黒富士を往復する。
火山らしい大岩が点在する道を通り黒富士の山頂にでる。山頂からの富士山の眺めが素晴らしい。
黒富士~八丁峠~曲岳
黒富士から分岐に戻り曲岳方面へと向かうと、途中に枡形山への分岐がある。枡形山山頂まで約20分ほど。枡形山からは富士山と黒富士のツーショットが眺められるので、時間に余裕があれば是非立ち寄りたい。
さらに先に進むと八丁峠にでる。ここは十字路になっていて、北側の観音峠大野川林道にある黒富士登山口道からの道、曲岳に至る道、今回のコースの下山路に通る平見城への道が交差している。
八丁峠から曲岳を往復する。
曲岳は遠くから見ると山頂の東側が曲がっているように見えることが名前の由来。曲岳も黒富士火山群を構成する山のひとつ。曲岳山頂からは反対側にも登山道がある。
八丁峠に戻り、平見城へと下る。途中に巨大な火山岩の基部をとおり、1時間程で黒富士農場のある道路にでる。
道路を下り車道を通って太刀岡山登山口の駐車場へと戻る。
黒富士火山群とは
火山活動によってできた黒富士一帯は、黒富士火山群と呼ばれている。今から100万年~50万年前に活動した火山で、火砕流の流出による溶岩円頂丘群を形成しているのが特徴。太刀岡山や曲岳もそのひとつ。黒富士の火山活動によって流出した大火砕流の堆積物は、遠く釜無川や甲府盆地にまで達している。
黒富士火山の活動の後、今から約20万年前頃からその西側に位置する茅ヶ岳火山の活動がはじまったと考えられている。火山の痕跡を辿りながら歩くのも面白い。
<コースデータ>
コース:太刀岡山登山口駐車場~(80分)太刀岡山(南峰)~(30分)越道峠~(60分)鬼頬山~(80分)黒富士~(40分)八丁峠~(50分)曲岳~(40分)八丁峠~(60分)平見城入口~(40分)駐車場
標高差:太刀岡山登山口850m、最高点曲岳1642m、高低差約800m
縦走路累計高低差約1350m
コースタイム:全コース9時間
アドバイス:
・所々迷いやすい箇所があり、また平見城入口周辺は踏み跡も薄いため、1/25000地図は必ず持参すること。詳しい人と同行することをおすすめする。
・長丁場のため、曲岳をカットするのも選択肢のひとつ。
・曲岳と黒富士だけに登るなら、黒富士登山口から2山を往復するのがよい。
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