夏山登山で気をつけたい3つのリスク、熱中症と低体温症、高山病について、その予防策についてまとめています。予防策は、計画段階からはじまり、装備や行動中の留意点にまでおよび、登山前に事前に知っておく必要があるでしょう。
高温や高湿度の環境下での運動による発汗により、水や塩分などを失い、体温が上昇し体温調節ができなくなる病気。 熱中症は、軽症・中等症・重症に分かれ、軽症では「足がつる」といっ た症状があり、中等症以上では「だるさ」「発熱」「立ちくらみ」「吐き気」「頭痛」などの症状が起きる。
登山前
・「暑さ指数(WBGT)」が高い時は登山を中止する。(※1)
装 備
・通気性のよい服装。
・日避け帽の着用
登山中
・ゆっくり歩く。
・充分な水分摂取。(登山前の水分摂取と登山中の適宜補給を心掛ける)
・塩分の摂取。
・小まめな休息
※1)暑さ指数(WBGT)とは、
暑さ指数(WBGT)は、熱中症を予防することを目的とした指標で、単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なり、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射などの熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標のこと。
厚さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加する傾向にあり、激しい運動を避けるよう呼び掛けている。
環境省 環境省熱中症予防情報サイトで全国の現況と予測が示されてる。以下をご参照ください。
熱中症の対処方法はこちら⇒環境省 環境省熱中症予防情報サイト 熱中症の対処方法
低い気温と濡れや風により体温が奪われ、深部体温が正常範囲より低下したときに起こる様々な症状。深部体温が35度以下の時に低体温症と診断される。症状は、震える、歩行が遅くなる、よろめく、判断が鈍る、口ごもる、意味不明な言葉を発する、錯乱状態になる、転倒する、意識が薄れる、歩行困難、意識を失う、瞳孔が開く、呼吸・脈が減少、昏睡状態、心肺停止へと進行する。
「震え」が低体温症の一歩手前のシグナル。
夏山でも十分起こり得るリスクである。
濡れ、風、空腹、疲労への対策が求めれれる。
登山前
・悪天候では登山を中止する。
装 備
・防寒・防水・透湿性対策(断熱性・防水防風性、頭・首の保温)
雨による濡れ、汗による衣服の濡れを防ぐレインウェアーの着用。
こちらもご参照ください⇒レインウェア・雨対策について
フリースなど重ね着ができる衣類の持参。
帽子の着用。
登山中
・暴風雨での行動、雨の時の森林限界での行動は避ける。
・雨や汗による衣服の濡れに注意する。
・帽子・フードをかぶる。
・空腹状態にしない。高カロリー食と水分を摂取する。
・濡れた体で風に吹かれない。(暴風雨の行動避ける)
・疲労させない。(強風下での疲労)
(参考)低体温症の対処方法はこちら⇒MSDマニュアル家庭版
標高が上がり、気圧が下がると空気中の酸素量が減少することで、 その環境に体が慣れていないことにより「頭痛」「ふらつき」「だるさ」「吐き気」「息切れ」「睡眠障害」などの症状がみられる。一般に、高所とは標高1,500m以上を指し、個人差はあるが高山病は2,000m以上への登山で起こりやすくなるといわれている。
登山前
・心肺能力を上げるトレーニングや低山から徐々に高度の高い山を経験していく。
登山中
・ロープウェイなどで一気に高度を上げた場合は、すぐに歩き始めない。
・ゆっくり登る。
・急激な高度上昇を避ける。
・水分を十分摂取する。(脱水すると高山病になりやすい)
・意識的な呼吸を心掛ける。(口をすぼめて息を長く吐く)
(参考)高山病の対処方法はこちら⇒MSDマニュアル家庭版
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